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2014年05月01日

Fields of hope 第110話

明らかに悪い軍人と思える男は私を持て一言言った。

「日本人か?」

「そうです。」

「どこまで行くんだ?俺が送ってやろう。」

「ヴァーラーナスィーの駅までです。」

「そうか、それでは俺が送ってやろう。」

「えっ、マジで。」

ラッキーだが、こいつのオートバイに乗って変なところに連れていかれはしないか?そんな不安がよぎる。それを感じ取ったのか軍人風のサングラスの男は、

「心配するな。俺はインドの国立大学の学生だ。誇りもある。誓ってお前に危害は加えない。安心して乗れ。」

言葉はわからないが意思は伝わった。そこまで言われれば仕方がなく、駅まで送ってもらうことにした。

聞けは彼は私が見に行った博物館のある大学の生徒だった。学生が軍服に身を包みバイクでサングラス。その姿では当然妖しく思うのは仕方がないと思うが・・・。

「たぶん、駅に着いたら何か欲しがるんだろうなあ・・・。」

インドに行く時は様々な小物を用意し、何か親切をしてくれた時の御礼に渡すと喜ばれる。そう呼ばれて小物は持ってきていたが、こんなに裕福そうなおそらくクシャトリアのご子息に満足いただけるような品物はない。

駅に着くと彼は案の定

「何か御礼にくれないか。」

と言ってきた。

「あんたほど裕福な人に満足いただけるものはないと思うけど。」

そういうと、

「いいから持ってるものを見せてくれ。」

そう言われたので、小物を並べてみた。

ライター、腕時計、懐中電灯、マッチなどなど。彼は懐中電灯と腕時計を掴んでうれしそうに去って行った。結局日本人が持っている珍しいものを貰って大学で自慢したかったんだろうね。なんかインド人よくわからん。



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2013年08月25日

Fields Of hope 第109話

朝食を食べ、ミネラルウォーターをホテルのオーナーから4本買い。部屋に戻って荷物の整理をした。

列車のチケットを確認し、少し休んでからホテルをチェックアウトした。オーナーは乗り物を手配するといったが、私はそれを断った。今日で最後なのだから、ヴァーラーナスィーの街を歩きたかった。もう二度と今生でこの土地を歩く機会はないだろう。

魂のルーツはここにある。しかし流れに流れて、今は極東の島国に落ち着き、今後死してもあの国に転生する。だから次の人生でもここを訪れることはないだろう。だからだろう、私は『この街を歩きたい』という衝動に駆られた。

大通りに出でれば、リクシャーでも拾えばいい。

うっすらとだが、自分がこの土地ではクシャトリア(武士)階級だったことは覚えている。かなり古い記憶だが、大学に通っているころにそれは自覚し、自然バガヴァット・ギーターやラーマーヤナ、マハーバーラタなどのクシャトリア階級のバイブルという書物を読んだ。

そして、この土地に惹かれて今ここにいる。旧市街の古ぼけた街並みに何となく懐かしい空気を感じながら歩き、大通りに出た。

「うそだろ・・・・。」

デリー市街と違ってリクシャーが1台もない。

「駅まで歩きか〜〜〜〜。」

湿度のあるヴァーラーナスィーの炎天下を30分は歩かねばならない。早めにホテルを出てよかった。列車の到着は12:00の予定だ。ほぼ間違いなく遅れるとしても、万が一ということもある。

諦めて歩き出した。しばらくして後方からバイクのクラクションが2・3度鳴り、インドの街には似つかわしくない高性能バイクが私を追い越した。またいでたちも凄い。

「かっちょええ〜(関西弁でかっこいい)、軍服や。」

明らかにお金持ちだ・・・・。白い軍服に、紺のスラッグス、西部警察の渡哲也のようなサングラスを賭け、もう、アニメに出てくるような白い軍帽をかぶっていた。

「こんなん、漫画でしか見たことないし、凄いなあ。いるんやなあ。相当階級上のクシャトリアやで・・・。」

吹き出しそうになってみているとバイクは私の前方で止まった。そして、バイクの上の青年は私の方を向いて

「ヘイ〜。」

と声をかけてきた。当然、私の後ろに彼の友人がいると思い

「こいつの友人ってどんな奴だろう。」

と期待して後ろを見たが、誰もいない。もしかして、俺か!

「ヘイ、You!」

ええ〜〜っ、やっぱり俺か。ちょっと待って、軍人に呼び止められるようなことした?俺これからどうなるの。

私がびっくりして立ち止まっていると、彼はバイクをふかして私のそばまでやってきた。

『なんかわからんけど、命だけはお助け〜〜、インドって安全だって言ったじゃないか。』

もう訳が分からなかった。
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2013年08月23日

Fields of hope 第108話

寝苦しい一夜が明けた。

今日は半日かけてデリーに帰る。ちょっと寝不足で体がだるいが、朝の川風は日本もこのガンジス川のほとりも変わらないと思いベランダに出てみる。

朝の空気は思った通り日中の暑さはない。

シャンシャン、ジャ〜ン、シャンシャンシャン、ジャーン、ジャ〜ン

打楽器を打ち鳴らしながら何かが近づいてくる。次第に人の泣く声が聞こえる。一番前に楽器を鳴らす者がいて、その後ろに何やら布に包まれた物体が2人の男に担がれている。

その後ろに大人の男女が続いている。

「ああ、葬式か・・・・。」

担がれているのは死体だった。老人がなくなったのだろう。これからガンジス川の火葬場に行って死体を薪で焼き、その後その灰をガンジス川に流し、神の下へ魂を返す儀式がある。

「今日はガンジス川いくのやめとこう・・・。」

見たところさして身分が高くない。ということは火葬場では薪を十分に買えないため、死体は半焼のまま火葬が終わり、焼けただれた死体はそのまま川に遺棄される。

下手にタイミングよく川に行くと、焼けただれた人間の死体が流れてくる中を観光することになる。想像しただけでもぞっとする。

そういえば昨日野良犬に襲われていた少女はどうなっただろう。あれがもし犬に食い殺されていたら・・・・。

内臓がきれいになくなっていて血に染まった背骨が見え、当然露骨も赤い肉だけが残っている。手足も骨がむき出しで残り、頭部は傷だらけだろう。

それを見つけたインド人は、

【親より先に死んだ子供】

として、頭がい骨を砕き潰して、布に巻いてガンジス川に捨てる。内臓がないので死体はガンジス川の川底へ・・・・。

「インドってシャレになってないわ・・・・。」

日本の葬式制度って素晴らしいね。
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posted by 太陽の巫女 at 14:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月06日

Fields of hope 第107話

しかし暑い。気温にして36℃、デリーに比べて4℃も気温は低い。にもかかわらず。この暑さ。汗が止まらない。当然のども乾く。

「全然足りない。」

ミネラルウォーターがだ・・・。恐怖がよぎる。あの池のフィルターを通しただけで、生活排水どころか人糞まで混入しているガンジスの水を飲まなければならない。

しかし、インドの大地では体の水分は想像以上に奪われる。そのため水分補給はのどが渇いたと自覚すれば迷わず行わなければ、脱水症状に陥る。飲まないことは非常に危険なのだ。

夜の8時、ペットボトルの水は1リットルの容器の半分しかない。二本あれば大丈夫と思ったがあまかった。

『寝てしまえば・・・・。』

と思ったが、しかし寝たとしても日本の熱帯夜よりも激しい湿気と暑さは襲ってくる。それでも水分の必要性は起きているときよりは低い。少し水を飲み、ベッドの上で寝ころんだ。

しかし、ベッドは熱を帯び、生温かかった。容赦なくガンジス川からの湿気を帯びた風が体を嬲る。汗は出続け、寝つけることもできず。ペットボトルの水はやがて底をついた。

暑い中で冷や汗が出る。確実に病原菌に感染する。これは帰りの列車の中でとんでもないことになる。

「正露丸持ってきてて、よかった・・。」

腹痛が来た時点で正露丸を飲めば、胃の中、腸のなか、すべての病原菌は殺処分できる。ただ、これまで腸内にあった善玉菌などもまとめてぶち殺してくれるので、あまり正露丸を乱発させると、風邪などにはかかりやすくなる。

それでも、赤痢やコレラにかかるよりはましだ。

「できるだけ我慢しよう。」

そう決めたが、深夜0時ごろにもう耐えられなくなった。水道の蛇口の前に立ち、しばし蛇口を見つめる。

「これを飲めば水分は補給できる。でも、病原菌を同時に飲むことになる。」

どちらが命の危険があるかだ・・・・。飲まずに我慢して脱水症状になるのと、赤痢やコレラの病原菌を体内に入れることと・・・・。

思い切って蛇口をひねり、水を飲んだ。脱水症状になってインドの医者にかかるほうが面倒くさいわ。

劇薬のAランク、正露丸、頼んだぞ。

私はそれから朝までに3回目が覚め、3回水道の水を飲んだ。体強いから何とかなるだろう。とは思ったが、後で聞くと正露丸があったからこそ助かったのだという・・・。

ここでいう正露丸とは兎の糞のように黒く丸いやつだ。
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posted by 太陽の巫女 at 08:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月26日

Fields of hope 第106話

食事は昼と同じメニューだった。

食事が終わると外は真っ暗だった。インドの代表的な街のヴァーラーナスィーでも、街には明かりはなかった。ここが沐浴場に近い旧市街ということもあるが、まったくの暗闇だった。

インドの夜には怪獣チュパカブラが出るという。確かチュパカブラは昼間見た野良犬のような顔をしている気がした。

暑すぎて、風でも出ていないかとベランダに出てみるが、湿気を帯びた川風が体を嬲り、拷問のようだ。もしかするとこの暑さではミネラルウォーターは持たないかもしれない。

うう〜〜。

突然、犬が唸りだした。こののら犬にかまれると狂犬病が感染し、日本人なら確実に病院いきだという。

がが、があー

ブチッ、バキ、メキ・・。

骨を砕く嫌な音がした。

「マジか、けんかやなく、インドの犬は殺し合いするんかい。」

「ああ〜〜、ああ〜〜〜ん、ああ〜〜〜。」

『えっ、人間の子供?』

どうやら、かみつかれたのは人間の女の子らしい。この時間はそれなりの階級の子供は外には出さない。おそらくアウトカーストの子供で、家を持たず、スラム街の軒下などで暮らしている子供が、この旧市街に迷い込んだのだろう。

わおっ、わん、うおー

変な鳴き方で、鳴く犬がいて、噛みついて唸っている犬、またもう一匹がかみついたらしい。

少女の鳴き声は響き、興奮した複数の犬が、少女にかみついては離れ、噛みついては離れしている模様。少女の泣き声はやがて小さくなり、闇に消えた。

「ええ〜、野良犬の獲物が人間の子供か〜?」

それは犬は肉食獣で、野生化すると人間の幼児は餌にするというのは知っていたけど、目と鼻の先で人間の子供が犬に食われた。野生の王国でシマウマやヌーがライオンによく食べられていたけど、シマウマ役が人間の子供で、ライオン役が犬なんて、想像すらできなかった。

しかしこれが本来の自然というもので、昔は日本でも狼に多くの人が食われていた。闇夜でも野生動物に襲われず、命の危険がないのは実は日本ぐらいなものだ。

分かっていても動揺するわ・・・、ついつい水を飲む量が増えてしまった。


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posted by 太陽の巫女 at 21:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月22日

Fields of hope 第105話

「見てくれ、俺は日本人との交流をしているんだ。」

そういいながら、アルバムのようなもの、手に持っていた手紙を広げて見せた。

「そんなこと聞いても意味ないし、もう面倒くさいから出て行ってくれ。」

そう言えたらいいが、そこまで非常になりきれないのが日本人らしい。

「こいつが東京、こいつは大阪、こいつは熱海、熱海を知っているか。」

その手紙には写真があった。細面でやせ形の眼鏡をかけた女性が微笑んでいる・・・・。

まさかなあ、・・・・ このインド人に股開いたとかいうなよ。そう思いながら答える。

「ああ知っている。有名な観光地だ。温泉がある。いいところだよ。」

「そうか、一度熱海に来いと百合子は言っていたな。日本人の女性はいい。やさしいし、SEXさせてくれる。」

ああ、そんな話になるのかよ。日本人女性は開放的になって外国で現地の男に抱かれるという記事を何かで見たけど。こういう甘いのがいるから、すべての日本人がやらせてくれると低俗な男どもに思われるんだろうな。

実際外国でレイプされたところで、日本人女性なら泣き寝入りするだろうしな。それで気持ちがよくって女に目覚めるのもいるだろう。

「この女とも何回もSEXしたぜ。気持ちよかった。1か月彼女がここにいた間、何回も何回も・・・。良かった。」

ホテルのオーナーは懐かしがっているのか、百合子と言われる女との行為を思い出して呆けているのか、それは定かではないが、要は日本人の男もこの手の話が好きだと思っているらしい。失礼な話だ。

自国の女性がインドまで来て、インド人に股を開いてぱこぱこやっているなんて聞かされては、ムカつく以外に何がある。

しかし、この百合子って女、まさか写真を見せられて、「俺こいつとSEXしたんだ。』って自慢されているとは思っていないだろうな。知り合いがこれを見て、このことを聞いたら愕然とするぞ。

娘が出来たら言おう。《外国で外国人とSEXしたら、写真つきで自慢話にされるぞ。》

ひとしきり話をしたが、私があまり話に食いつかないので、オーナーはあきらめて出て行ってしまった。解放された私はひどくのどが渇き、水を飲んだ。しかし、このくそ熱いのに冷蔵庫なしか。

流石はインドですわ。

夕涼みに川の方まで歩く。なんてことをしてみたいが、インドの闇の中には恐ろしいものがいるというので、夜で歩くのは危険だという。

いったい何があるのだろう。興味はあるが、身を以て確かめる気にはなれない。

ホテルの下に野良犬が寝ていた。昼間も見たがなんか妖怪みたいだ。日本にいる犬とは全く違う気がする。2本の犬歯はライオンのように伸びている。

「あれにかまれたらどれだけの大けがするかな・・・。」

昼間の大猿といい、この恐ろしい犬といい、インドの生き物は全く日本人のイメージではとらえきれない。


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posted by 太陽の巫女 at 11:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月19日

Fields of hope 第104話

1996年当時のインド、カースト制度の厳しさを垣間見た。

部屋でくつろいでいるといやおうなしにヴァーラーナスィーの蒸し暑さが襲って来る。パットボトルの水は2本ある。これを飲みつなげて朝まで持たせる。十分だと思った。

少し風があるようなのでベランダに出てみた。すると隣の部屋に白人の女性がいた。大きい。しかもがさつそうだ。そもそもインドに来るのだ。しかも一人旅で、そういう女性だろう。向こうが私に気付いた。

『ハーイ。』

気さくに手を挙げるが、警戒しながら聞いてくる。

「あなたは中国人それとも韓国人?」

良くご存じで、旅慣れている。東洋人を怒らせないコツだ。北朝鮮はあり得ないから、この二つを出しておけばトラブルにならない。反対に

「あなたは日本人ですか。」

と聞くと中国人と韓国人は激怒Pするらしい。

「日本人ですよ。」

「おおー、それはいい。ちょっと話しませんか。」

そういってその白人女性は、メモ帳を持ってきた筆談もするらしい。彼女は私を質問攻めにして私はそれにこたえるのに精いっぱいで、なにを話したかすら覚えていなかった。

やがて、彼女の部屋のドアがノックされ、

「ゴメン、誰か来たわ。ありがとう。」

そう言って彼女は部屋に消えて行った。別段、今後交流を持ちたいと思うようないい女ではなかった。

厚い・・・・・。何となくいやな気がする。汗が止まらないのだ。じっとしているとじわじわ噴き出てくる。ミネラルウォーターが何となくギリギリ足りない気がしてきた。

「ちょっといいですか。」

ホテルのオーナーの声がした。ドアを開けるとオーナーはアルバムのようなものを持っていた。

「ちょっと話をしましょう。」

先ほどの出来事で不振がられてもかなわないので、ご機嫌を取りに来たのだろう。



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posted by 太陽の巫女 at 18:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月13日

Fields of hope 第103話

ゴールデンテンプルはなぜか中に入れてもらえた。ヒンドゥ教徒以外は入れないらしいが、そこの僧侶に私はどう見えたのだろう。寺院の室内を劣に沿って歩くと、各所に聖水と神聖な花びらを入れた壷を持った僧侶がいて、人々はその前で手を合わせて目を閉じ、僧侶は花弁の入った聖水に手を付け、そのしずくを顔にかけ祝福する。

いいのかなあ、と思いつつ僧侶の前に立った。前の人に習って、手を合わせて静かに目を閉じる。僧侶も作法通りに祝福を授けてくれた。

『なんかなあ、ヒンドゥ教徒でもないのに。なんで入らせてくれたんだ?まあ、あの人たちには現在の姿は関係ないから、ルーツがインドの魂を持つ者はああやるのかな・・・。』

何となくそんな気がした。

そもそも、失恋の傷をいやすために、インド旅行を選び、しかもツアーではなく、一人旅の無計画放浪を選ぶあたりおかしい。この大地に降り立った直後は戸惑ったが、すぐにインド人の扱い方が分かった。というよりは思い出した。

旅の目的も、インドを肌で感じる。タージマハールなどの代表的な観光地には目もくれず、インドの町の人を見ることや、日本ではありえないインドの自然を見ることの方がよかった。

見ておきたいと思ったのは、ガンジス川の沐浴場と日程の都合上行けなかったクルクシェートラの古戦場。

観光客の目的とは全く違っている。

実際、旅のストレスは全くなく、出来ることなら1か月ぐらいはゆっくりとしてみたい。

寺院を後にして、ホテルに戻った。

『あんたのおかげで、楽しい旅が出来た。』

そういってリクシャーの親父に礼を言い、200ルピーのチップを渡した。

その後、ホテルに入るとオーナーが、

「お前、シルクを買わなかったのか。」

と聞いてきた。なるほど、この親父もグルか。買わなくてよかった。日本人だから馬鹿にしてやがる。誰もかれもが甘いと思うなよ。そう思っていると、オーナーはリクシャーの親父のところに行き。

「こいつはおれの客だ、貰ったチップをよこせ。」

鋭い、さすがに商売人だ。

「これは俺があいつからもらったんだ。俺のものだ。」

「ふざけるなこれは俺の客だ、こいつが払う金は俺のものだ。お前への賃金は俺が決める。もう仕事をやらねえぞ。」

リクシャーの親父は仕方なく私が渡したチップを差し出し、30ルピーくらいの駄賃を貰っていた。

「ちょっと待て、それは俺がこいつにやった金だ、なんでお前がとるんだ。」

と日本人なら抗議したいところだが、私は理解している。ヒンドゥ教のカースト制度に外国人が口出しをすることは許されない。下手に干渉すると罪人にされて投獄されることもある。




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2013年07月04日

Fields of hope 第102話

結局、猿は私を見逃してくれた。

猿のいた並木道を抜けて大学の美術館の前についた。

リクシャーの親父は手で中に入れ、と合図した。

「ああ、そうかアウトカーストは中に入れないんだな・・・。」

日本では考えられないが、この国ではこの仕打ちが当然なのだ。ちょっと後ろめたい気分で美術館の中に入った。展示場までは少し距離があり、その道程の石畳から周りを見渡すと、聖闘士星矢に出て得来るようなギリシャのコロッセオのような風景が目に入った。

「ほー・・・。」

と、いう事は中にはどうでもいいものを転がしているな。中に入ると古代インドで使われていた土器や楽器、武器などが展示されていたが管理状態が悪いためどれも古ぼけたガラクタのようにしか見えなかった。

「くだらねえなあ・・・・。」

ほんのちょっと見たらあきれてしまった。暑い・・・、次いこう。外に出てリクシャーに乗る。また大猿のいた並木道を戻る。そこに大猿はいなかった。あれがあもしかしたら横合いから飛び込んで来たら・・・・、恐怖で引きつりながら周りを見る。

「なんだ、猿がまだ怖いのか、あいつらは何もしないよ。」

インド人の大丈夫は怖い。動物園で年に二回虎が柵から飛び出して、客にかみつく事件が起こっていても、年に2回だ今日は大丈夫だ。と平然と思っている。

今日襲われなかったから、今も大丈夫というレベルでしかない。

並木道を抜け、リクシャーは新市街に入った。ガートの近くの旧市街と違い。きちんと道路が舗装されている。歩道は石畳、路面はアスファルトがインドの定番。しばらく行くと簡易に作られた沐浴場があり、その水辺で猿が遊んでいた。そこの猿は小さく大きさでいうと人間の赤ちゃんより小さかった。

しかも、よほどここのため池の水が悪いのか、猿は皮膚病にかかっていて、体のあちこちの毛が抜け落ちていた。しかし、街中で猿が走り回っている。これだけ猿が自由にできる国もない。

猿の神、ハヌマーンさまさまだ。猿にとっては何と住みやすい国か・・。
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posted by 太陽の巫女 at 09:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月30日

Fields of hope 第101話

私は親父にゴールデンテンプルとヴァーラーナスィー・ヒンドゥー大学構内にある博物館に行くように頼んだ。

途中、店でミネラルウォーターを買った。ヴァーラーナースィーはデリーに比べて湿度が高く、ちょうど日本の夏の炎天下の様に暑かった。ガンジス川の沐浴場近くの古めかしい路地では、庶民の食べる食べ物を売る店が並んでいた。

果物は直射日光にさらされ、変色し、食べ物は道路の通行人のまきあげる砂埃をたっぷり浴びていた。

「きたねえなあ・・・。」

そう思ってみていると

リクシャーの親父は

「食べるか?」

と聞いてきた。

「ノーサンキュー。」

と答えると、わかった。という様に手で合図をして、親父は一心に自転車を駆る。この炎天下に頑張るなあ。汗だくになって飲まず食わずだ。この男もアウトカーストだ。昔は荷車で人を載せて走っていた。日本でいう人力車だ。

代々『運び屋』ということで世襲される。その身分から抜け出せない代わりに、仕事は保証され、食べるものにはギリギリ困らない生活ができる。それが当たり前とされるのがカーストだ。

リクシャーは旧市街を抜け、舗装された路地に出た。大学のインド美術館が近い。街を外れ並木道に出た。

不意にリクシャーの親父が頭上を指さし、

「Look、it's a monkey.」

えっ、猿? どこに。

「はあ?」

私の目線の先には、小学生高学年の児童ほどの大きさのサルがこちらを見下ろしていた。尻尾は1mほどの長さがあり、直径5cmはあろうかと言うほどの大きなの目は、明らかに私に興味を示していた。

「いやいやいやいや、あかんあかん、あかんあかん。シャレにならんがな。早よ行ってくれ。」

あわてて、急かす私を見てリクシャーの親父は楽しそうに笑ったが、私は知っている。

ハヌマーンのサルの軍隊。ラーマーヤナに出てくる野生猿の軍隊は、人間を殺しまわった。

「ふん、猿が軍人倒せるかぼけ、言いすぎじゃ。」

ニホンザルしか知らない私は、それを馬鹿にしたが、今頭上で私を見下ろしている猿ならできる。インド神話の様にこの猿が飛び降りてきて私の首筋にかみついてきたら・・・・。確実だと思えた。

「なんでインドで、猿にかまれて死ななあかんねん。」

海外旅行は日本の常識では計り知れない危険がある。インドは特に危険だった。

こんな大きな猿に襲われたら絶対に大けがだ。
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posted by 太陽の巫女 at 22:48 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする